2019年のテレビ番組をきっかけに日本中でお茶の間に浸透し、同年の流行語大賞トップテンにも選出されたお笑いコンビ・ぺこぱの代表的な名言「時を戻そう」。テレビやYouTube、各種メディアで一度は耳にしたことがあるこのフレーズは、単なるギャグにとどまらず、時代の空気感や優しい笑いのトレンドを大きく変えるきっかけとなりました。
本記事では、このフレーズが誕生した驚きの背景から、ツッコミを放棄して肯定するという「ノリツッコマないボケ(時を戻そう)」の構造、シュウペイさんと松陰寺太勇さんのコンビとしての歩み、そして2026年現在のリアルな活動実態まで、信頼できる事実を基に多角的な視点から徹底的に紐解いていきます。
「時を戻そう」の元ネタと生まれた背景:松陰寺太勇の苦節時代

「時を戻そう」というフレーズは、ボケ担当の松陰寺太勇さんがネタの中で多用する独特の言い回しから生まれました。その背景には、長年にわたる下積み生活と、数々の試行錯誤の歴史が存在します。公式なプロフィールや本人のインタビュー等によると、松陰寺さんはお笑い界に入る前、音楽活動(ヴィジュアル系バンド)に情熱を注いでいた経歴を持っています。
当時の音楽活動や、インディーズ時代における独特のメイク、ナルシスト風のキャラクター、そして「誰も傷つけない優しい笑い」を模索する中で生まれたのが、あの紫色のジャケットと着物風の立ち姿、そして扇子を手にした現在のスタイルです。物事が思い通りに進まなかったり、思わぬハプニングが起きた際に「時を戻そう」と宣言し、あたかも時間を巻き戻して別の選択肢を選び直すかのようなポーズを取る演出は、シュールでありながらもどこか哀愁と哲学を感じさせるものとして練り上げられました。
初期の漫才では、キザな台詞を連発する松陰寺さんに対し、シュウペイさんが一般的な激しいツッコミを入れるスタイルでしたが、ある時期を境に「ツッコミが強すぎると視聴者が不快に思うのではないか」という懸念から、シュウペイさんがボケを否定せず、むしろ受け入れる「ノリツッコマないスタイル」へと進化。このシフトチェンジこそが、「時を戻そう」という必殺のフレーズを最大限に活かすための最大のターニングポイントとなりました。
2019年のブレイクと流行語大賞受賞の軌跡:お笑い第7世代の台頭
ぺこぱの名が全国区に駆け上がった決定的な瞬間は、間違いなく2019年12月に放送された『M-1グランプリ2019』の決勝舞台でした。当時の賞レースにおいて、主流であった厳しいダメ出しや頭を叩くような激しいツッコミとは一線を画し、ミスをしたボケに対しても「気にすんな」「時を戻そう」と優しく包み込むスタイルは、審査員や視聴者に強い衝撃を与えました。
この大会でファイナリストとなり、審査員からも高く評価されたことで、ぺこぱは一躍「お笑い第7世代」を代表する人気コンビの仲間入りを果たしました。テレビ各局のバラエティ番組への出演オファーが殺到し、同年末には「時を戻そう」が『ユーキャン新語・流行語大賞』のトップテンに選出されるという快挙を成し遂げました。
| 時期・年 | 出来事・トピック | 備考・主な実績 |
|---|---|---|
| 2008年 | コンビ結成 | 松陰寺太勇とシュウペイが「ぺこぱ」を結成。長く地下ライブ等で活動。 |
| 2019年12月 | 『M-1グランプリ2019』決勝進出 | 独自の「肯定する漫才」が爆発的な話題となり、一躍ブレイク。 |
| 2019年12月 | 流行語大賞トップテン受賞 | 「時を戻そう」が社会現象となり、メディア露出が急増。 |
| 2020年〜 | 冠番組の開始・メディア定着 | テレビ・ラジオのレギュラー番組を多数獲得し、お笑い第7世代の牽引役に。 |
| 2026年現在 | マルチな活動展開 | テレビ、YouTube、個々のタレント活動など、安定したメディア実績を構築。 |
表に示したように、結成から10年以上もの雌伏の期間を経て、2019年のM-1を契機に一気にスターダムへと駆け上がった経緯は、多くの視聴者に勇気を与えるサクセスストーリーとしても語り継がれています。
相方・シュウペイの存在感とコンビネーションの秘密
「時を戻そう」を語る上で欠かせないのが、相方であるシュウペイさんの存在です。元々はサッカーエリートとして青春を過ごし、お笑いとは無縁の人生を送っていたシュウペイさんを松陰寺さんが熱心に誘い、コンビが結成されました。
シュウペイさんの持ち味は、計算された天然ボケではなく、どこか憎めない天真爛漫さと、独特の柔らかい空気感にあります。松陰寺さんがどれほどキザに決めて「時を戻そう」と話をリセットしようとしても、シュウペイさんが予測不能なボケやリアクションで切り返すため、ネタの展開が常に新鮮な驚きを生み出します。
メディアのインタビューや楽屋裏のドキュメンタリーなどによると、プライベートでも良好な関係を維持しており、互いの個性を尊重し合う姿勢がそのままステージの安定感に繋がっています。「時を戻そう」という松陰寺さんの独壇場に見えて、実はシュウペイさんの受け皿があるからこそ成立する高度な掛け合いこそが、ぺこぱの最大の強みであると言えます。
「時を戻そう」の正しい使い方と社会への浸透度
このフレーズがこれほどまでに長く愛され、日常のコミュニケーションツールとして定着した理由の一つは、その汎用性とポジティブなメッセージ性にあります。ビジネスシーンや日常会話において、失敗をしてしまったときや、別の選択肢を選ぶべきだったと後悔した瞬間、ユーモアを交えて場の空気を和らげるクッション言葉として機能します。
ネット上やSNSでも、「今の発言、ちょっとミスったから時を戻そう」「会議の資料を修正したい、まさに時を戻そう」といった形で、自虐や冗談のトーンに変換して使われてきました。他者を攻撃しない、いわゆる「誰も傷つけない笑い」の象徴として世間に受け入れられたことで、トゲのある毒舌が敬遠される現代の社会的空気感に完璧にマッチした形となりました。
YouTubeや冠番組の展開:現在の活動状況とリアルな実態
一時のブームが去った後、多くの芸人が露出を減らしていく中で、ぺこぱはテレビのレギュラー番組や冠番組(『ぺこぱのオールナイトニッポン0』や各種地上波番組など)を着実にこなしながら、YouTubeチャンネルの運営や個別のタレント活動にも注力しています。
YouTubeでは、シュウペイさんのサッカー関連の企画や、松陰寺さんの趣味であるバイクや音楽、キャンプといったライフスタイルを発信するなど、テレビだけでは見られないパーソナルな魅力をファンに届けています。一発屋という世間の偏見を跳ね返し、安定した笑いと好感度を維持し続けているのは、彼らが誠実に自分たちの芸風をブラッシュアップし続けている証拠です。
【時を戻そう】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「時を戻そう」の元ネタを作ったのはどちらのメンバーですか?
A1:ボケ担当の松陰寺太勇さんが、自身のフライヤーや音楽活動、過去のピン芸人時代から培ってきた独自のナルシストキャラクターと世界観をベースに考案しました。
Q2:なぜ「時を戻そう」は2019年の流行語大賞に選ばれるほどブレイクしたのですか?
A2:『M-1グランプリ2019』で披露した「誰も傷つけない肯定の笑い」が時代のニーズに合致し、日常の失敗や言い間違いを笑いに変える便利なフレーズとして日本全国で広く使われたためです。
Q3:ぺこぱのシュウペイさんはもともとお笑い芸人を目指していたのですか?
A3:いいえ。シュウペイさんはもともとサッカーの強豪校で本格的にサッカーに取り組んでおり、プロを目指していたアスリート気質でしたが、松陰寺さんの熱烈なスカウトを受けてお笑いの世界に入りました。
「時を戻そう」というフレーズは、単なる一過性の流行語ではなく、お笑い界における「優しさのトレンド」を切り拓いた歴史的な名言として今後も語り継がれていくでしょう。過去の失敗や後悔に直面したとき、ただ嘆くのではなく「時を戻そう」とユーモアを交えてリセットし、前を向いて歩き出す――その姿勢こそが、ぺこぱが私たちに教えてくれた最大の教訓です。
変化の激しい現在、自分自身の軸を持ちつつ、周囲の状況に応じて柔軟に軌道修正を図るための判断基準として、彼らの歩みやこの名フレーズから学べる部分は少なくありません。今後も、シュウペイさんと松陰寺太勇さんがどのような笑いとエンターテインメントを届けてくれるのか、その動向から目が離せません。